現代自がベトナムで新工場稼働 2025年に年18万台

極東 > 韓国レポート
Akihiro Komuro
小室 明大

韓国の現代自動車とベトナムの複合企業タインコン・グループの合弁企業はベトナム北部のニンビン省で自動車工場を稼働した。年産能力は10万台で、既存工場と合わせた年産能力は2025年までに18万台になる。国内だけでなく近隣国にも輸出する。合弁会社、現代タインコンが運営する新工場の投資額は3兆2000億ドン(約180億円)。工場の敷地面積は約50ヘクタールで走行試験用のテストコースも併設した。

現代自動車は2009年にベトナム市場に進出した。2021年の現代自動車のベトナム国内での新車販売台数は約7万台でトヨタ自動車を上回り、ブランド別で国内最大になったとみられている。

出典: 日経

PSR 分析: ベトナムでの韓国製品の存在感は高い。自動車はもちろん、家電製品などでも韓国ブランドを容易に目にすることができる。このニュースは現地での韓国製自動車の浸透を顕著に示している。韓国メーカーがベトナムでシェアを伸ばしている背景には、日本車に比べて価格が安い点があるが、現地のニーズにあわせたカスタマイズ戦略が奏功していることもある。現代や起亜の現地モデルについて、市場関係者は「同等クラスで比較した場合、各種オプションを備えたカスタマイズ車種を安く販売している点で日本車よりも優位」と分析した。PSR

小室 明大 – 極東及び東南アジア リサーチアナリスト

現代自、ソフト更新で稼ぐ 1.9兆円投じ課金モデル構築

極東 > 韓国レポート
Akihiro Komuro
小室 明大

現代自動車が、自動運転などに必要なソフトウェア開発に本腰を入れている。2030年までに18兆ウォン(約1兆9千億円)を投じる方針を固め、開発体制の構築やM&A(合併・買収)に乗り出した。世代交代に伴う戦略転換で過去最高益を達成した現代自。顧客が車の購入後に機能を追加できるソフト分野でさらなる収益力向上を狙うが、人材獲得が当面の課題となる。

2023年以降に発売される新車種を対象に、ネット経由で最新ソフトに更新する「オーバー・ジ・エア(OTA)」機能を標準搭載する。2025年までに起亜自動車も含めた全車種にも広げ、スマホのアプリストアのような多様な機能をダウンロードできるプラットフォームを構築。機能更新に応じて課金する仕組みを確立する方針だ。まずはカーナビなどコンテンツ、オーディオや照明、遠隔操作機能などを導入し、その後は自動車保険の契約など周辺領域にも広げ、顧客の要望に応じたサービスの多様化・高度化を進めるという。

課題は、ソフト技術者の確保だ。韓国ではサムスン電子やネイバー、カカオといった大手が優秀な技術者を求め、高額報酬を提示して争奪戦を繰り広げている。労働組合の影響力が強く、報酬が均一的な現代自は十分に採用できずにいる。

出典: 日経

PSR 分析: 自動運転やCASEにとってある意味必然ともいえる自動車のスマートフォン化をさらに加速させる動きだ。ソフトウェアによるサブスクリプション型のビジネスモデルはテスラがすでに先行しているが、他の自動車メーカーもそれぞれのやり方でこのトレンドを追従している。大手の動きは以下の通り。

現代自動車2030年までにソフトに1.9兆円投資 課金ビジネスモデル構築
トヨタグループ全体のソフトウェア技術者を18,000人体制に増強
ホンダ2030年までにソフトウェアと電動化に約5兆円を投資
VW内製のソフトウェア基盤に2030年までに最大4,000万台を接続
ステランティス2025年までに60~90億ドルユーロをソフトウェアに投資
GM2030年の売上高目標2,800億ドルの約3割をソフトウェアで稼ぐ

開発の速度を速めるためには人材の確保が急務だが、そう簡単にはいかない。ソフトウェアの仕事の進め方は「アジャイル開発」と呼ばれる体制が主流であり、これは頻繁に問題を修正していくことで品質を向上させようというものだ。この手法は従来の上意下達型のピラミッド構造である自動車メーカーの仕事の進め方にはなじみにくいものだ。こうした新しい環境整備が現代自にとっては急務になる。

ソフトウェアの品質が自動車の価値を左右する時代がまもなく訪れる。これはまだ人類が経験していない領域であり、スペック、デザイン、価格とは別の新たな評価軸が登場することを意味する。

ユーザー目線で考えると、ソフトウェアに起因した事故や問題が起こった場合、その責任を誰が担保するのか、という点が気にかかる。もちろんそうしたことが起こらないことが前提だが、そうした面での法整備もこれから各国で進められていくのかもしれない。PSR

小室 明大 – 極東及び東南アジア リサーチアナリスト

2023年にEV購入補助金を導入、販売促進へ

東南アジア > インドネシアレポート
Akihiro Komuro
小室 明大

インドネシアは、2023年からEVの購入を促すため補助金制度の導入を計画している。2025年までにEV利用者を250万人とし大気汚染の軽減を目指す。今回のEV購入の補助金制度はジョコ・ウィドド大統領が過去1年間に導入したEV政策のリストに追加される。ブディ・カリャ・スマディ運輸相は、政府が内燃機関車の改造に対する補助金も検討していると明らかにしたが、労働集約的な自動車産業に大きな変化をもたらすため、政府はこの計画を慎重に検討しているという。運輸省は韓国の現代自動車や中国のBYDといったインドネシアの既存自動車メーカーにアプローチし、ボルネオ島の新首都のためのEVエコシステムを構築する予定だという。

EVシフトの強化の背景には、インドネシアがバッテリーに使用されるニッケルの世界最大の生産国であり、最終的にニッケルの原材料輸出を全てやめることで同国がバリューチェーン上でより付加価値の高い部分に進みたいという目論みもある。

政府は今年はじめ、すべての国家機関に電気自動車への移行を命じた。国営電力会社PLNに対しては、4年以内に電動バイク200万台と電気自動車50万台の目標を達成するために充電スタンドを増設するように指示した。

インドネシア政府は、公共交通機関が5年以内に完全に電化されることを目指す。運輸省のデータによると、10月3日現在、インドネシアには22,942台が電気オートバイ、4,904台の電気自動車が利用されている。

出典: kamobs.com

PSR 分析: インドネシアのEV政策がかなりアグレッシブに進められている。現時点ではまだEVの普及率は低いレベルに留まっているが、これらの政策の後押しを受けて今後数年で飛躍する可能性を秘めている。2輪にもEV購入の補助金が策定されるということだ。

都市部での渋滞とそれによって引き起こされる大気汚染は非常に深刻なレベルにあり、こうした政策をうけて市場がどのように反応するかが大事になる。これまで様々な政策をもってしても解決できなかったこの問題をEVが乗り越えられるか、試されている。私は目標達成がかなり厳しいと見ているが、いずれにしても現状のままにはとどまらず普及は進んでいくだろう。PSR

小室 明大 – 極東及び東南アジア リサーチアナリスト

ビンファスト、ガソリン車2種受注終了 EVシフト着々

東南アジア > ベトナムレポート:
Akihiro Komuro
小室 明大

ベトナムの複合企業最大手ビングループの自動車子会社、ビンファストは7月初旬にガソリン車2種の受注を終了したことを明らかにした。対象はSUVとセダンで、同社が販売するガソリン車は小型車のFadilのみになる。同社は年内にガソリン車の生産から撤退する方針を打ち出しており、EV生産へのシフトを急ぐ。

ビンファストは2車種の受注停止の理由について「部品の調達が困難になり、顧客に納入した台数が予想より多くなかったため」としている。ファディルの受注停止の時期には言及していない。同社は2021年12月にベトナム国内でEVの販売を始めた。現在は小型SUVのみだが、22年内に大型SUV2車種を加える予定だ。欧米市場でも1月からEVの受注を開始しており、米国東部のノースカロライナ州ではEVの新工場を2024年に稼働させる方針で準備を進めている。ビンファストが発表した1~6月の自動車の新車販売台数は1万4695台。このうち、EVは2141台だった。

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現代自動車、主力EV「IONIQ6」発表 航続距離524キロ

極東 > 韓国レポート:
Akihiro Komuro
小室 明大

現代自動車は14日、EVの主力モデル「IONIQ 6」を発表した。1キロワット時あたりの走行可能距離は6.2キロメートルと、現行モデル「5」から2割伸長。航続可能距離も同22%増の524キロメートル(韓国政府認定基準)に引き上げた。現代自はEVの電気消費効率が世界最高水準としている。CEOはIONIQ 6について「『モバイルパーソナルスタジオ』という自分だけの安息空間がコンセプト。既存EVとは違った新たな経験を提供できる」と話した。

韓国内では7月下旬に事前予約を開始し、9月から出荷する。価格は5500万ウォン(約580万円)台からで、年内に1万2000台の販売を見込む。欧州では年内、米国では2023年上半期に発売する。日本での販売は未定という。今回発表した「6」では車体を軽量化し、駆動部品や半導体の省エネ性能を高めて航続距離を伸ばした。

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現代自、インドネシア自動車展でEV800台以上成約

極東 > 韓国レポート

ヒュンダイ・モーター・インドネシア(HMID)は、ジャカルタで開催された「インドネシア国際モーターショー(IIMS)ハイブリッド2022」で、国内で量産を開始したEV「アイオニック5」を800台以上成約したと発表した。

「アイオニック5」はすでに量産を開始し、4月からディーラーへ出荷することを明らかにしている。「アイオニック5」に次いで販売台数が多かったのは、SUV「クレタ」で約600台だった。EVとガソリン車を含めた全車種の成約台数は1,500台を超えた。

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韓国勢、EV電池材も増産 「川上」強化で中国勢追う

極東 > 韓国レポート:
Akihiro Komuro
小室 明大

韓国素材大手がEV向け電池材料の増産を急ぐ。ロッテケミカルは1600億円規模を投じて韓国や米国で電解液などの工場建設をめざす。LG化学やポスコも増産を表明した。韓国勢はLGなど電池大手3社が活発な投資計画を持つが、川上分野の電池材料については中国勢に後れを取っている。素材各社も供給能力を高めて中国に対抗する。

石油化学が主力のロッテケミカルは、自社プラント内に電解液用の有機溶媒工場を新設する。総投資額6020億ウォンで新棟を建てて2023年中の生産を目指す。米ルイジアナ州でも電解液や正極材関連の工場建設を検討する。2025年の生産開始を見越して自治体など関係先との調整を始めた。投資金額は1000億円規模となる見通しだ。

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タイ、EV普及へ新奨励策 2022年から補助金・減税

東南アジア > タイレポート:

タイ政府は2022年からEVの普及に向けた新しい奨励制度を導入する。販売価格を引き下げるための補助金支給や、物品税と輸入関税の引き下げが柱となる。奨励制度を利用する自動車メーカーには、2024年以降にEVの現地生産を義務づける。

現地メディアの報道によると、補助金は車種やバッテリーの容量に応じて、1台当たり7万~15万バーツ(約25万~54万円)を支給する。購入にかかる物品税は現行の8%から2%に引き下げる。輸入関税はバッテリー容量と販売価格に応じて20~40%引き下げる。現在の最大関税率は80%だが、貿易協定により中国製は無関税である一方、日本製は20%が課されている。日本製も条件を満たせば無関税になる見通しだ。輸入車の現在の販売価格は中国の上海汽車集団や長城汽車のEVで約100万バーツ、日産自動車の「リーフ」のキャンペーン価格で約150万バーツと差が出ている。

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ソニーがEVのSUVを公開、ホンダとの協業も発表

極東 > 日本レポート
Akihiro Komuro
小室 明大

ソニーグループは3月5日、EVの試作車「VISION-S」のSUVを国内で初めて一般公開した。センサー、音響、映像技術などソニーが得意とする技術を集めた。4日にはホンダとの提携を発表しており、両社が出資する新会社でEVを共同開発し、2025年の発売をめざす。

ソニーは2020年に発表したセダン型の試作車に続き、米国で2022年1月に開かれたデジタル技術見本市「CES」でSUVを発表。

サイドミラーには鏡面がなく、車の前後も含めて40個近いセンサーから集めた映像やデータを使って安全性を高めるという。ダッシュボードはディスプレーが3枚ならび、運転情報に加えて映画などのコンテンツを映せる。車内はソニーの音響技術を駆使し、臨場感のある音楽を楽しめる。

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現代自とLG化学、インドネシアに1200億円で電池工場

現代自動車とLG化学は7月29日、インドネシアにEV向けの電池工場を建設すると発表した。投資額11億ドル(約1200億円)を折半負担する。ニッケル埋蔵量が世界最大のインドネシアで電池を量産し、世界各地の現代自と起亜の完成車工場に供給する。ジャカルタ中心部から南東約65キロのカラワン地域の工業団地にある33万平方メートルの敷地に新工場を設立する。年内に着工して2024年には量産を始める。

年間生産能力は10ギガワット時で、EV15万台分の電池を供給できるという。現代自と起亜は今後5年間で計23車種のEV新モデルを発売する計画を持つ。セダンやSUV、高級ブランド「ジェネシス」にも広げるために基幹部品の電池の安定調達が課題だった。同社初の合弁工場とすることで長期的なEVシフトにつなげる。

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