韓国電池3社、大幅増収続く LGエネは営業益2.4倍

韓国レポート

韓国電池大手3社の2023年4〜6月期の連結決算が出そろった。LGエネルギーソリューションの売上高は前年同期比73%増、営業利益は2.4倍だった。EV生産が拡大し、SKオンの売上高は同2.9倍に拡大。サムスンSDIは23%増収だった。

車載電池で世界2位のLGエネの売上高は前年同期比73%増の8兆7740億ウォン(約66億ドル)、営業利益は2.4倍の4610億ウォン(約3.4億ドル)だった。2022年稼働の米GMとの合弁生産も寄与し増収増益を続けた。

LGエネは6月末時点の受注残額が440兆ウォン(約3320億ドル)と、1年間で130兆ウォン(980億ドル)増えたと明かした。ホンダや韓国・現代自動車との合弁契約などで受注を積み上げており、北米中心に新工場を次々と建設して需要増に対応する。

SKオンは売上高が同2.9倍の3兆6961億ウォン(2.7億ドル)と大きく伸びた。後発のSKは活発な先行投資を続けており、当面は赤字基調が続く。

車載電池とスマートフォン向け電池が主力のサムスンSDIの売上高は23%増の5兆8406億ウォン(4.4億ドル)だった。欧州中心に自動車販売が好調で、安定的に販売を伸ばしている。

参考: 日経

PSR 分析: 現在の韓国の製造業は半導体とバッテリーが支えていると言って良い。半導体は減産が続き稼ぐ力の鈍化がみられるが、バッテリーは好調の様子だ。韓国メーカーは北米にも生産拠点を設けるための投資を続けている。北米や欧州の自動車メーカーでの採用が増えており、少なく見積もっても向こう5年以上は韓国バッテリーメーカーの躍進は続くだろう。懸念点としては度々ここで指摘しているが、他のバッテリーメーカーも積極的に生産力向上の投資を続けているため、需要が飽和した場合に価格競争が発生し、過剰な供給能力が足かせになり得る、という点だ。レアメタルを筆頭に原材料の調達も国際間競争の様相を呈していることから将来的に調達が今よりも難しくなる可能性もある。こうした課題を韓国勢がどのように乗り切るか、がキーになる。PSR

小室 明大 – 極東及び東南アジア リサーチアナリスト