日本レポート

経済産業省はEVの充電器の設置目標を2030年までに30万口とする整備指針案を公表した。従来目標の15万口の2倍に引き上げた。足元の設置数と比べると新目標は10倍となる。商業施設などへの設置を呼びかける。
指針案は事業者に充電速度や機器操作の利便性の向上も要請している。脱炭素の実現に向け、2023年3月時点で3万基程度にとどまる充電器の導入拡大を急ぐ。設置目標の内訳として、商業施設などの普通充電器が27万、高速道路などの急速充電器が3万と示した。「プラグ・アンド・チャージ」と呼ぶ新しい充電方式の導入も促す。自動車を充電器とつなぐだけで認証や課金ができる仕組みで、米テスラが採用している。充電器に会員カードをかざしたり、スマホアプリで個人情報を認証したりする動作が不要になる。
参考: 日経
PSR 分析: EVの国内普及率を見てみよう。日本自動車販売協会連合会が発表したデータによれば、2022年のEV(普通乗用車のみ。軽自動車は除く)の新車販売台数は、約3万1600台に上る。2020年が約1万5000台、2021年が2万1000台だったので、伸長率は前年比約150%と大きく向上している。だが普通乗用車全体の販売台数が約222万台なので、EVが占める割合は全体のわずか約1.42%に過ぎない。購入者がEVを選ばない理由として、充電スポットの少なさが指摘されている。特に地方ではその少なさが目立ち、EVが購入の選択肢に入らない。今回経産省が目標の引き上げを発表したのは、こうした状況を改善したいという意欲の現れだ。こうした環境整備は自動車メーカーだけで賄うのは難しいため政府がイニシアチブをとることは当然であり、EV使用環境の利便性向上が普及に向けての必須条件となる。PSR
小室 明大 – 極東及び東南アジア リサーチアナリスト