ホンダが55歳以上の社員を対象に募った早期退職に2000人超が応募したことが5日、分かった。

国内正社員の約5%に当たる。電気自動車EVシフトを見据え、担い手となる社員の世代交代を進める。ホンダは応募者の目標を設けなかったが、当初想定の1000人を大幅に上回った。

ホンダが人員削減に踏み切るのは、内燃機関から電動化や自動運転へのシフトが急務となるなか、中高年層に偏った社員構成を見直すためだ。若手登用を進め、新技術への対応を急ぐ。ホンダは2040年までに新車販売をEVとFCVのみにする目標を4月に公表している。

出典: 日経

PSR 分析: EVシフトに伴う雇用減少については様々な試算がされており、日本の場合は10万人とも30万人の雇用が無くなるとも言われている。多くの人材が雇用から外れることが想定されており、メーカー各社や地方自治体は早期退職者の募集だけでなく、新たな事業創出、就労機会の維持や増加への取り組みが必要になるだろう。

EVシフトと状況は大きく異なるが、COVID-19問題でも雇用維持に向けた取り組みがある。航空会社では空港職員やフライトアテンダントの余剰人員を家電量販店や他のサービス業に出向させたりもしている。

10年以上も前からEVシフトに伴う雇用縮小は認識されてきたが、各メーカーとも抜本的な解決策は見出せずにいる。ホンダに限らず、日産も2019年に世界全体で1万人の人員削減計画を発表している。トヨタは伝統的に雇用を重視しておりグループ関係各社の明確な人員削減計画は発せられていない。

EV開発の現場からは開発の人手が足りず計画が順調に進められない、という声も聞こえてくる一方で、徐々に仕事がなくなっていく内燃機関部門のスタッフは将来への不安を口にする。この問題が簡単には解決できないことを承知はしているが、問題解決のための時間はあまり多くは残されていない。PSR

小室 明大 – 極東及び東南アジア リサーチアナリスト