韓国レポート

韓国の現代自動車と米アップルは自動運転EV分野での提携で正式合意する予定だ。韓国紙コリアITニュースが伝えた。先週、現代自とアップルが2027年に自動運転EVの発表を目指していると別のメディアが報道。これを受け、現代自はアップルと初期段階の協議をしていると発表していた。現代自は10日、コリアITニュースの報道についてコメントを拒否した上で、自動運転EVの開発で様々な企業から協力を念頭とした要請を受けているとする8日の説明を繰り返した。アップルのコメントは現時点で得られていない。
参考: REUTERS
PSR 分析: アップルがEV市場への参入を考えている噂はすでによく知られている。主に自動運転を軸に検討を進めているという話だ。強力なブランドを持つアップルがどの自動車メーカーとタッグを組むか、は注目されてきた。
アップルが自動運転EVを作る理由は、自動車メーカーのそれとは異なると思われる。一般の自動車メーカーが自動運転車やEVの開発を進めるのは、環境問題への対応はもちろん、そうしなければ他社の後塵を拝し、既存のビジネスが立ち行かなくなることが明らかだからだ。しかしアップルの立場は異なる。自動運転EVを作らなくても既存ビジネスを失うことはないし、普通によく走るEVでよければ、もっと早く市場に出すことができるだろう。では、なぜ自動運転を検討しているのか。アップルは自動車分野のユーザー体験を改善し、社会的な問題を解決できると考えているためだろう。
現代自とパートナーになるかどうかはさておき、いずれにしてもアップルが市場参入する場合は、アップルは自動車メーカーと組む必要がある。自動車製造は高度な工業技術の結晶であり、極めて高い安全性能が求められる。アップルといえどもそうしたノウハウをこれからゼロベースで積み上げるのは難しく、すでに充分な知見を持つ現代自を筆頭に検討は加速していくだろう。PSR
小室 明大 – 極東及び東南アジア リサーチアナリスト